傘と長靴

雨の日を楽しくするファッションを紹介します。

岸本佐知子さん、妄想エッセイで傘運のなさを嘆く(笑)

 こんばんは。傘と長靴のukiです。

 

本棚にあった岸本佐知子さんの『なんらかの事情』をパラパラとめくってみたら、傘運について書かれた面白すぎるエッセイが。

 

岸本佐知子さんは翻訳家で、ミランダ・ジュライの『いちばんここに似合う人』とか、ニコルソンベイカーの『中二階』など、ちょっぴり不思議な味わいの小説を翻訳しています。その岸本佐知子さんの妄想エッセイは、とにかくすごく面白い。よくこんなこと考えつくな~と感心する。突拍子もない方向に話が展開していくので、断続的に鼻がクツクツ鳴る。

 

その中の一篇、「運」がすこぶる笑える! いろいろなものの運について語りながら、傘運がないという悲しい告白をする。そしてそれに続くビニール傘運だけはあるという嘆き。大切な傘にかぎって失くす・・・・・・これはもう、マーフィーの法則でしか説明できません。

 

お気に入りの傘は決して外に持ってはいけないと知った岸本佐知子さんは、傘とのつき合い方について語る。

 

いま、家にはとてもいい傘がある。一見するとコウモリだが、開いて見上げると内側に青空が描いてある。一度でも外に持っていけば間違いなく今生の別れになる、それが確信できるほどその傘を私は気に入っている。

 外でさせないので、ときどき家の中でさしてみる。雨の日にさして部屋の中を歩きまわる。床の上に開いて置き、その中にうずくまってみる。青空をバックに記念撮影する。

 蜜月ではあるが、それはもう傘ではない別の何かだ。

 

 

 

きっとこの傘に違いない。

 

確かに、たった一度のデートでお別れするには惜しい傘だと思う。